プロが教える溶接DIY講座① ~ 安全・便利な溶接DIY環境のつくり方

小型溶接機のパイオニアSUZUKIDさんの監修のもと「プロが教える溶接DIY講座」を3回シリーズでお伝えします。まず第1回目の今回は「溶接環境のつくり方」です。「溶接DIYにチャレンジしてみたいけど場所がない・・・」。「安全に作業するには何を揃えればいいの?」そんなお悩みに答えます。

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溶接DIY初心者の悩み?溶接環境ってどう作ればいいの?

「溶接ってなんだか怖そう・・」と思っている方も多いと思いますが、溶接に潜む危険を知り環境を整えれば、誰でも気軽にチャレンジすることができます。

溶接DIYの注意すべき点とは

どんな場所が溶接DIYに適しているかを検討する上で、溶接作業をする際の注意すべき点にについて知っておきましょう。

①高温の火花(スパッタ)

溶接作業中には、高温の火花(スパッタ)が飛ぶため、周囲に可燃物があると火災の危険があります。また熱に弱いもの(ガラスや樹脂のパイプなど)があると破損したり溶けたりしてしまうこともあります。

②溶接による熱と煙

溶接でよく使われる鉄の融点は1,500℃以上、それを溶かすための熱が発生します。また溶接作業では煙(ヒューム)や油煙が発生しますので、密閉された空間ではなくしっかりと換気できる環境を用意しましょう。

③感電

手や材料が濡れた状態での溶接は感電の危険があります。雨や汗などで濡れないように注意しましょう。また、アースクランプと溶接トーチの先端や溶接棒が触れ合わないようご注意ください。

④目の保護

溶接の強い光(溶接光)には強い紫外線などが含まれます。この溶接光を裸眼で直視すると、目が火傷をしたような状態になり、強い痛み、ゴロゴロ感、涙が止まらない(電気性目炎)等の症状が出ることがあります。必ず溶接面・自動遮光溶接面を使用し目を保護してください。

溶接DIYに適した場所ってどんなところ?

これらの注意点に配慮し、安全に作業ができるスペースとはどんな場所なのでしょうか。
周囲に燃えやすいものがなく換気がしやすい、駐車場やガレージ・お庭などが候補に上がります。また、後述する火花ガードなどで作業場所の周囲の保護(火花・溶接光から守る)と換気ができれば、バルコニーなどを溶接スペースとして使用できる可能性があります。

溶接機を使うために必要な環境

次に溶接DIYスペースでに必要なものについて見ていきましょう。

①電源

溶接DIYでは溶接機を使うための電源が必要です。家庭用の電源(100V 15A)で使用できる溶接機も多く販売されていますが、延長コードを使用すると電圧が下がり、うまく溶接できない可能性がありますので、コンセントから直接電源をとれる環境が好ましいです。

②溶接作業台

溶接は材料に電気を通電させることにより高温を発生させ、材料を溶かし込んでいく技術です。通電させるには材料に直接アースクランプを接続する方法がありますが、この方法だと材料を平らな状態に保持して作業するのが難しくなることが多々あります。
その課題をクリアするためには天板または全体が鉄製の作業台を使用することです。溶接作業台の天板や脚にアースクランプを接続し、材料をその作業台の天板に置くことで、通電をさせながら材料を平らに保持することが可能となります。

まずは安全第一!リーズナブルに作れる溶接DIYの作業環境

必要な広さは? 火花はどのくらい飛ぶ?

溶接時のトーチの角度、溶接の強さ(電圧・電流の設定)などにより変動するため、一概にどのくらい飛ぶとは言えませんが、作業台の付近(周囲2~3m)には可燃物などを置かないようご注意ください。広いスペースが取れないときは、不燃材で作られた「火花ガード」で囲うことで飛散を防ぐことができます。


Fe★NEEDS フェニーズオリジナルFMS004火花 ガード

床面・壁面

作業場所の床や壁は不燃物であることが原則です。または、防炎素材で製造されたシート(スパッタシート)などで隙間なく養生することでも対応できます。 


SUZUKID スズキッドスパッタ シート ハイグレード タイプP-499

作業台

溶接をおこなう作業台は専用のものが市販されていますので、そちらをご活用いただくことをお勧めします。。

Fe★NEEDS フェニーズFMS008 溶接用作業 テーブル

このように作業台はすべてが鉄(通電する素材)で製造されていると、アースクランプを様々な場所に接続できるので、とても汎用性の高い作業台となります。
木工用作業台を汎用的に活用する場合には、木工作業台の天板の上に鉄板を設置することで、その鉄板にアースクランプを接続することができます。その場合は、溶接作業により天板が高温になることを考慮し、角パイプやレンガ等の不燃材を活用して、鉄板と木工作業台の天板との間に熱を逃がすための隙間を設けることが大切です。

溶接DIYに適した電源とは

100V電源

溶接DIYでは家庭用電源(100V 15A)で使用できる溶接機が主な選択肢となります。この機種であれば、自宅のコンセントに差し込むだけ(アース接続あり)で使用できます。コンセントの接続方法については、お使いの溶接機の取扱説明書をご参照ください。

200V電源

最近ではエアコンやIHヒーターなど、家庭でも200V電源を使用することが多くなっていますが、これらと兼用すると使用電流(A)が許容量を超えてしまう可能性があります。電力会社との契約変更が必要になる場合もありますのでご注意くだい。

溶接機の電源についての注意点

①延長コードを使っちゃいけないの?

延長コードが使えないわけではありませんが、延長コードを使う時はなるべく短い距離でお使いください。(コードが短いほど電圧降下が少なくなります。)

②頻繁にブレーカーが落ちる時には

頻繁にブレーカーが落ちるときには、同じ電源に接続している機器のコンセントを抜き、溶接機単体で使用してみましょう。それでも改善しない場合は、契約アンペアなどに問題がある場合もあります。その場合は電力会社に相談してみましょう。

どうしても溶接環境が作れないときはどうする?

ここまで自宅での溶接環境のつくり方をご説明してきましたが、賃貸やマンションなどどうしても環境をつくるのが難しい方はどうすればよいのでしょうか?

Fe★NEEDSなどの溶接体験工房

SUZUKIDが運営する溶接ショップ「Fe★NEEDS」(フェニーズ)など、溶接専門の体験工房を利用する方法があります。溶接に必要な機械やグッズはすべて用意されている上、初めて溶接DIYにチャレンジする方向けの講座なども開催しています。もちろん材料を持ち込んでの溶接も可能です。

Fe★NEEDS鎌倉本店

Fe★NEEDS中目黒店

ホームセンターの工房やレンタルスペース

近くに溶接専門の工房がない場合は、ホームセンターの工房やDIYレンタルスペースを利用する方法もあります。ただし溶接ができない施設もありますので、事前にホームページや電話で確認してみることをおすすめします。

溶接DIYで揃えておきたいグッズや治具

安全のために用意したいグッズ

①自動遮光溶接面【必須】

溶接の火花から目を保護するための溶接面は必ず用意してください。溶接用手持面というのがありますが、初心者の方は、両手を自由にすることができる自動遮光溶接面がお勧めです。


SUZUKID スズキッド溶接用 液晶式自動遮光面Libero サンドベージュLR-200SB
SUZUKID スズキッド溶接用 液晶式自動遮光面Libero モスグリーンLR-200MG

②手袋【必須】

高熱の火花(アーク)から手を保護するために手袋は必須です。手首まで長さのある革の手袋をお勧めします。

SUZUKID スズキッド本革溶接用裏出し手袋(5本指)P-106 

③エプロン・靴カバー・腕カバー

衣服を保護し、燃え移りなどを防ぐためにエプロンや靴カバーなどを使用することをおすすめします。防炎素材で作られた専用のものがありますが、厚手のデニムやコットン素材のものでもある程度の代用はできます。ナイロンなどの化学繊維は火花で溶ける可能性があるので避けてください。

SUZUKID スズキッド溶接用エプロン 前掛けP-482

④マグホールド(溶接作業用強磁力マグネット)

上手に溶接をするには両手を自由な状態にしておくことが大きなポイントです。また、一人で材料を保持しながら溶接することが難しい状況も遭遇します。それを解消する便利な道具として、マグホールド(溶接作業用強磁力マグネット)やクランプなどを活用すると、材料をしっかりと固定することができ、材料がズレずに狙った位置でスムーズな溶接ができます。


SUZUKID P-731 溶接作業用 マグネットマグホールド(Sサイズ/2個入)

⑤クランプ

材料の保持用として、クランプも安価で様々なサイズや形がありますので、いくつか揃えておくとよいと思います。

C型クランプ

⑥グラインダー

溶接するための材料を準備する段階では、材料を切断することと、その後にバリを取り除く研磨作業が大切です。バリが残っていると溶接時に材料同士に隙間が発生し、溶接箇所がズレてしまったり、製作物に残ったバリで手などを怪我してしまったりする可能性があるので、バリの除去作業は必須です。
そのバリ取りの研磨作業にはグラインダーを用いるのが適しています。またグラインダーがあれば、ある程度の材料であれば切断する(切断用の刃を使用)ことも可能です。
※一定尺の材料を多く切り出す際などには、メタルバンドソーが便利です。


グラインダー

溶接DIYをスタートするための予算

最後に溶接DIYを始めるためにどのくらいの予算を用意すればよいか見てみましょう。もちろん環境によっても変わりますので参考としてご覧ください。

溶接作業テーブル  21,780円
自動遮光溶接面    8,480円
手袋         2,479円
エプロン       4,378円
火花ガード     14,080円
スパシャッタHG   15,400円

合計 66,579円

総予算6万円強、溶接機を入れても8~10万円前後で溶接DIYにチャレンジすることができます。
また以下のような溶接機と必要なグッズがセットになった商品も販売されていますので、ビギナーの方は活用してみてはいかがでしょうか?

【100V半自動溶接機+自動遮光溶接面のお得なセット】Buddy80累計販売台数10,000台突破感謝キャンペーン Buddy+Libero モスグリーン SBD-80MGTC

記事監修

SUZUKID(スター電器製造株式会社)

SUZUKIDは創業60年を迎える小型溶接機のパイオニア。
溶接機の販売だけでなく、直営ショップ「Fe★Needs(フェニーズ)」で溶接ワークショップも開催していますので、初心者の方でも安心して購入できます。

SUZUKID公式サイト https://suzukid.co.jp/

Fe★Needs(フェニーズ)オンラインショップ

https://www.rakuten.co.jp/feneeds-welderspoint/

溶接機や溶接グッズの購入に関するご相談

SUZUKIDでは、溶接機や溶接グッズの購入に関するご相談も受付けています。
お気軽にお問い合わせください。

(「DIYレシピを見て」とご記入いただくとスムーズです)

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