姿勢や手の位置を見直すことで、溶接がメキメキ上達することも
SUZUKIDが運営する「Fe★NEEDS」には、たくさんのDIYerの方がワークショップに訪れますが、作業時の手の位置や目線などをちょっと直すだけで、格段に上達される方がたくさんおられます。
今回取り上げる「カラダの使い方」とは、野球に例えれば、打席での構え方やバットの振り方などにあたります。正しい姿勢や手の位置、動かし方などを学んでいきましょう。
※本記事では右利きを前提に解説します。左利きの方は左右を読み替えてください
正しい姿勢を保つために適切な作業台を使おう
まずは正しい姿勢を保つための作業台について解説します。
立った状態で溶接する場合には高めの作業台、座って作業する場合は低めの作業台を用意しましょう。
「Fe★NEEDS」で使用している作業台の高さは約80cm。身長にもよりますが、立って作業するには70cm~80cmくらいが目安になります。
こちらの折り畳める簡易な作業台の高さは約50cm
溶接の基本姿勢と手の動かし方
次に溶接をおこなう時の基本姿勢と手の位置、動かし方などについて解説します。
実演してくださるのはSUZUKIDの浅田さんです。
溶接箇所は、材料の真ん中を上から狙うのがポイント
溶接は2つの金属を溶かし込んで接合しますので、溶接ワイヤー(溶接棒)を接合箇所の真ん中にしっかり当てることが大切です。そして真ん中に狙うためには上から狙うのが基本で、斜めに狙うと片方の材料だけに当たったり、距離感がつかめなかったりしてうまくいきません。
■上からだと真ん中が狙いやすい
■斜めだと真ん中が狙いにくく距離感もつかみにくい
また上から狙うには、下の写真のように右手の肘を上げるのがコツです。
■良い姿勢(左)■悪い姿勢(右)
姿勢によって材料に当たるトーチの角度が全然違うのが分かりますか?
左手を添えてふらつきを抑える
2つ目のポイントは、必ず左手を添えて、溶接棒やトーチを持つ手がふらつかないようにすることです。この時、添える左手は作業台など動かない場所につけて安定させます。
■作業台での左手の添え方(例)
■作業台を使わない時は、左ひじを膝の上などに置き安定させる
こうした安定した作業をおこなうためにも、両手が使える「自動遮光面」は、初心者の必須アイテムと言えます。
手を動かす方向とトーチ・溶接棒のはこび方
半自動溶接機の場合には、手を右から左に、材料と平行に横に動かすのが基本です。
手棒アーク溶接機の場合は、左から右に動かします。進行方向(右)に溶接棒を少し傾けながら、下に押し込んでいくようなイメージで動かします。右に傾けておくことによって、溶接棒が溶けて短くなった分だけ、自然に右の方に溶接箇所が動いていくわけです。
溶接棒を支える右手は人差し指を添えると安定します。
本番前の「予行練習」で、姿勢と手の位置を確認
半自動、手棒アーク、どちらの場合も本番の溶接をおこなう前に、一度動かし方を予行練習してみましょう。
この時に溶接箇所の最初から最後までスムースに動かせない場合は、姿勢や手の位置が適切でない可能性があります。足や頭を動かさずに、手だけでスムースに動かせる位置を見つけましょう。
顔の位置と目線
次に顔の位置と目線について解説します。
溶接箇所がよく見えるように顔は横から覗き込むように
溶接ワイヤーや溶接棒は溶接箇所(材料のつなぎ目)に正確に当てることが重要です。そのためには、溶接箇所を横から覗き込める位置に顔を置くことがポイントです。こうすると、材料とワイヤー(溶接棒)の先端がよく見え、距離感がつかみやすくなります。逆に真上から見るとワイヤー(溶接棒)の先が隠れて見えにくく距離感がつかみにくくなります。
■(悪い例)真上から見た場合
■(良い例)横から見た場合
作業場が暗いなど、手元が見にくい場合には、このようなトーチに装着できるライトを使うと、手元が格段に見やすくなります。
また、初心者の方が火花に慣れないうちは、知らず知らずにカラダがのけぞって、こんな姿勢になっているかもしれません。これでは手元もよく見えませんし、手も動かしにくくなります。
溶接上達のための「カラダの使い方」、いかがでしたか? 正しい姿勢と手の動かし方、顔の位置と目線、これらをセルフチェックし、溶接DIYレベルアップを目指しましょう。
今回、実演いただいたSUZUKID浅田さんが講師を務めるSUZUKID直営の溶接ショップ「Fe★NEEDS」では、各種ワークショップのほか、技術レッスンもおこなっています。
詳しくはこちらからご覧ください
SUZUKIDおすすめ!あると便利な作業台・補助ツール
回転式溶接作業台「レボ360」(RV-360)
いい姿勢を保つには安定した作業台が必須です。
【特徴】
・天板が回転するので作業者が移動せずに溶接作業が可能です。壁が接近している場所や狭い場所にも有効です。
・天板穴あき部にクランプをセットすることで材料や治具の固定が可能です。
・専用クランプが2個標準付属。
・トーチホルダーが付属しており大変便利です。
LED投光器「バーメン」
暗い作業場では、手元を明るくすることで溶接箇所がよく見えるようになります。
【特徴】
・投光器(バーメン)同士の連結や他機種を接続出来る100V出力ソケット付
・接地2P型と2P型どちらでも接続可能な電源プラグを装備
・衝撃から本体を守る保護ガード付
・脚幅調整可能折り畳み三脚
トーチ専用LEDライト Starget(P-827)
半自動溶接機(MIG)トーチ専用LEDライト。溶接部を明るく照らす。暗い場所での作業に最適。
【特徴】
プッシュ式スイッチで手袋したままOK
トーチのスワンネックにワンタッチで取付。ライトの角度の調整も可能
レンズ交換可能(1枚予備ガラスが付属)
マグホールド
マグホールドを使えば、位置決めや角度保持の際に両手がフリーなるのでしっかりトーチが保持できます。角度フリーのものやスイッチつきなどたくさんのバリエーションがあります。
溶接用拡大プレート
視力の弱い方などは拡大プレートを使うと大きく見えて作業が楽になります。遮光面の遮光プレートに取り付けて使用します。
MIGスポットガイド
点付け溶接の際にトーチに取付けて使用するガイドです。トーチと材料の距離感がつかみにくいという方にオススメです。
記事監修
SUZUKID(スター電器製造株式会社)
SUZUKIDは創業60年を迎える小型溶接機のパイオニア。
溶接機の販売だけでなく、直営ショップ「Fe★Needs(フェニーズ)」で溶接ワークショップも開催していますので、初心者の方でも安心して購入できます。
SUZUKID公式サイト https://suzukid.co.jp/
直営ショップ「Fe★NEEDS(フェニーズ)」
公式オンラインショップ「スズねっと」
溶接機や溶接グッズの購入に関するご相談
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